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コラム

民間の保育園の園長(事業主)にも労災が適用された‼

No.9 2010-12-15 あるく社会保険労務士法人 特定社会保険労務士 清水義昭

「労災」は、その制度のもととなっている「労働者災害補償保険法」(「労災法」)の法律名通り、業務上又は通勤途上での病気やけがで補償されるのは労働者です。しかし、最近当事務所でサポートしたケースで、民間の保育園の園長さんに労災が適用されました。一定の条件のもとで事業主や経営者にも労災適用の道がつけられています。

1 災害補償義務を課しているのは労基法

事業主に災害補償義務を課しているのは、労働基準法(「労基法」)です。その第8章で労働者が業務上の災害にあった場合、休業、療養、障害、遺族補償等をしなければならない、と事業主の責任を明確にしています。

ところが、労基法に規定しても、経済的に補償できない場合が生じます。労基法は強行法規ですから、事業主を罰則適用するだけで、病気やけがをした労働者は救済されません。そこで、労災法で事業主を強制加入させ、国の運営する保険で救済することにしたのです。だから、健康保険のような他の保険と違って、保険料は事業主負担だけで、従業員負担がありません。

2 事業主や経営者のための特別加入制度

労災は、労働者のための制度ですから、当然事業主は加入できません。しかし、事業主と言っても、労働者と一緒になって同じような仕事をしている中小企業の社長や自営業者もいるわけで、このような人たちを救済するため、労災法に特別加入制度が設けられています。ここでは、中小企業主等の特別加入について説明します。

○対象は、常時使用労働者が300人以下(小売・サービス業等では50人以下)の中小企業主(法人・個人経営は問わない)とその家族従事者。

○中小企業等の労働保険の事務処理を代行することが認められている労働保険事務組合に事務処理を委託しないと加入できない(当事務所で取扱う場合は、社労士会が作っている兵庫SR経営労務センターに委託)。

○保険料は、年収を参考に日額を決め、それにその事業所の労災保険料率をかけて計算。日額の最高は2万円(年収では730万円)。仮に、1万円の日額で小売業なら年間の保険料は、10,000×365×0.4%=14,600円と安い。

○労災補償は、労働者に準じて行われる。

○但し、経営者としての業務で病気やけがをしたときは補償されない(この線引きはなかなか難しく、トラブルのもとにもなる)。

3 休業・療養・障害補償を認定された保育園園長の場合

この園長の経営する保育園は、主に認可保育所に入れない子(いわゆる待機児童)を預かる民間の認定保育園で、パートさんも含め10人くらいの保育士さんらが働いています。

○ペースメーカーを埋めこむ手術

 ある日、体調が良くないということで早退した園長は、自宅マンションの入口付近で倒れました。郵便配達員が見つけ、救急車で病院に搬送され手術を受けました。幸い発見が早かったので大事に至りませんでしたが、ペースメーカーを埋めこむ必要のある心臓疾患でした。

○手術は成功したものの障害者に

 2週間ほどで退院し、現場復帰しましたが、健康福祉手帳(身体障害2級)も交付され、以前ほど業務をこなせなくなりました。園長は2年ほど前から特別加入していましたので、休業、療養、障害補償の請求を労働基準監督署に申請しました。

○時間外が80時間を超えると労災認定へ

 脳・心臓疾患の認定基準は、「1か月間に概ね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間に1か月あたり概ね80時間の時間外労働があると業務と発症の関連性が強い」としています。園長の場合、だいたい朝の開園から夜の閉園まで在園、休みは日曜・祝日だけでしたので、時間外労働としては毎月100時間を超えていました。

○園長の業務のほとんどは保育士としての仕事と認められる

 これが従業員なら認定基準により、すんなり労災認定されたはずです。しかし、園長の場合、経営者としての業務もあり、その時間は差し引かれます。その時間はどのくらいか、というのが争点になり、調査・審査に半年以上かかりました。園側としては、保育士さんらと協働して児童の面倒をみる保育業務が園長業務の大半で、経営者としての業務は週に数時間程度という主張をしました。結果的には、この主張が受け入れら労災認定されました。

○認められた補償内容

 ・休業補償⇒15日分(日額×15日×80%)

 ・療養補償⇒当初は健保適用で、手術費等を支払っていたが、支払額のほぼ全額の還付を受けました。今後もこの病気に限り療養費は無料です(「健康手帳」の交付)。

 ・障害補償⇒障害等級9級の認定(日額×391日+特別支給金50万円の障害一時金)。職場復帰できていることから、7級までの「年金」の対象になりませんでしたが、「胸腹部臓器の機能障害」に対する「一時金」支給では最高額でした。年収が730万円以上ある、最高額2万円の日額の人であったなら、800万円を超す補償になります。

○危険と隣り合せの中小企業主なら、必ず特別加入を

 ほとんどの中小企業主は、従業員以上に現場仕事をしています。危険も多いはずです。保険料はわずかです。是非特別加入のご検討を‼

おしらせ

2012-09-01

取扱業務一覧を掲載しました

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